「こころを一つにする」保育
お話を伺った施設
わんぱく保育所
お話を伺った人
社会福祉法人 わんぱく福祉会
わんぱく保育所 小西 真弓 園長、 谷 昴希 先生


キーワードは、「こころを一つにする」。

本所は「働く保護者の力になるために」という想いで、無認可で開所しました。無認可では法的な補助金はないので、運営や保育士の給与等において課題が多くありました。正直、運営するのも大変でしたが、こどもを想う気持ちで、保育士と保護者と共に乗り越えていきました。人を想うこころを大切にし、みんなでこころを一つにすれば、つながりや助け合いが生まれ、こどもの成長を見守れるという経験から、本所の理念には「こころを一つにする」を掲げ、大切にしています。
「こころを一つにする」ことを大切にする保育を展開していることで、こどもたちは人の気持ちを考えて声を掛けたり、助けたりすることができています。中学生や高校生になった卒園児が、今も本所の行事に参加したり、運営の手伝いに来てくれます。
みんなで力を合わせる!運動会の一輪車。

本所では、運動会や水泳大会などの行事の中に、こどもが協力して取り組む活動を多く取り入れています。例えば、運動会の種目の中に、年長児がみんなで手をつなぎ、一輪車で走るという活動があります。一輪車は、通常保育の中でこどもたちがそれぞれに取り組みますが、運動会の種目ではあえてみんなで動く動作を組み込むことで、「こころを一つにする」ことを感じられるようにしています。誰か一人が転んでも成功しないからこそ、みんなで力をどう合わせていくか、こどもたちなりに考えられるようにしています。一人ではできないことも、みんなで力を合わせて取り組めばできるという経験を重視しています。
こどもだけでなく、保育士や保護者の頑張る姿を見せる。

こどもに「こころを一つにする」ということを大切にしてもらうために、こどもだけが頑張るのではなく、保育士や保護者といった大人も頑張っているところを見せることを行っています。例えば、朝の集会の際に、保育士が歌唱指導の講師から練習を受ける姿をこどもたちに見せています。保育士が協力しながら頑張っている姿はこどもにも伝わるものがあると思います。
また、保護者の協力する姿をこどもたちに披露する場も設けています。保護者が園の行事の際に、楽器を演奏しながら歌ったり、踊ったりする演目を入れています。保護者の方は週末に本所に集まり、歌唱指導の講師から指導を受けたり、保護者同士で声を掛けながら練習しています。保護者は本所の意向をしっかり理解しており、積極的に参加してくれています。
保育士や保護者の協力する姿を見たこどもたちは、その姿に刺激を受けて、より積極的に活動に取り組んでいます。
「こころを一つにする」保育が、こどもも保育士も成長させる!

漠然とこどもに「こころを一つにして頑張りましょう」と伝えても、理解することはできません。実際の体験の中で、人を想うこころが芽生え、人と関わることを学び、人と行動を共にすることでこどものこころは大きく成長していきます。「こころを一つにする」保育は、こどもたちが具体的にその過程を踏みながら成長していくために必要であると考えています。
また、保育士にとっても「こころを一つにする」という考え方を中心に置くことは重要であると思います。こどもと関わる上で感じる課題にも、「こころを一つにする」という考え方を大切にすることで、保育士同士が協力し合いながら乗り越えることができ、その経験が自身のやりがいにつながっていくからです。
これからも、保育士や保護者の行動をこどもたちに見せながら、「こころを一つにする」ことの大切さを伝えていきたいです。
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