わかやま保育のひろば
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自然豊かな環境といろんな人がつながって、大家族のような保育

お話を伺った施設
有田川町立清水こども園

お話を伺った人
有田川町立清水こども園
新田 千寿 園長、長田 美代子 主幹保育教諭

自然豊かな環境と家庭的な雰囲気の中での保育

清水こども園散歩の様子の写真です。
清水こども園散歩の様子の写真です。田んぼでオタマジャクシなどを見つけました。

本園は、高野山の南に位置し、自然豊かな山里の環境の中で保育を行っています。令和8年度の園児は1~5歳児あわせて11名、職員は7名という小規模な園です。こどもたちは家庭的な雰囲気の中で、ゆったりと生活していて、こどもも保育士もお互いのことをまるで“家族”のように理解し合える関係性が築かれていて、これは小規模園ならではの特徴だと考えています。本園では、少人数だからこそ保護者との連携が密に取れることに加え、地域の方々とのつながりも深く、園と家庭、地域が一体となってこどもを育てる温かい保育が実現しています。
また、自然に囲まれた立地を活かした散歩など四季を感じる保育活動を展開しています。

清水こども園のこどもたちの日常の様子の写真です。

家庭的な時間がこどもの育ちを支える、小規模園の魅力

本園の保育室は一つながりの部屋を1歳児、2歳児、3~5歳児の3つに分けていますが、年齢にかかわらず、部屋へも行き来できるように、間仕切りに開口部を設けています。こどもたちはその時の気分や興味に合わせて好きな部屋で思い思いの活動を楽しみます。年齢ごとに環境を固定してしまうと、こどもの遊びも決まったものになりがちですが、年齢にとらわれず自由に選べるようにすることで、一人ひとりの感覚や育ちに合った活動が自然とできています。
こうした環境の中は、こどもは、お互いのことをよく理解し合い、話し合いながら活動を進める姿が多く見られます。小さなこどもは年上のこどもの遊びや姿を見て学び、年上のこどもは小さなこどもの行動に合わせることで、互いに育ち合う関係が育まれています。
また、保育士は、担当する年次のこどもだけでなく、すべての園児に関わることになるので、すべての園児を理解するようになります。

清水こども園のこどもたちの日常の様子の写真です。新聞で遊んでいます。

保育の時間の流れについては、以前は「お集まり」「自由遊び」といった区切りを設けていましたが、現在はあえて設けず、こどもと保育士がその日の活動を相談しながら決めています。昼食も決まった時間に一斉に食べるのではなく、おなかがすいた頃にそれぞれ準備を進めて食事に向かいます。一人ひとりの「やってみたい」という気持ちやタイミングに柔軟に応じられるのは、保育士がすべてのこどもを分かっているからこそできることです。
「活動にメリハリがなくなるのでは?」と心配した時期もありましたが、こどもたちは自由に選べるからこそ、互いの意見を尊重したり、みんなで決めた約束を守ったりする姿が見られます。保育士がこどもたちを集めるのではなく、こども自身が「約束の時間だから集まる」と理解して行動することで、取り組む集中力も高まると感じています。

自然豊かなこの場所でしかできない保育とこどもの育ち

清水こども園のこどもたちの日常の様子の写真です。散歩をしています。

自然豊かな園庭には、昆虫や小さな生き物がたくさんいて、こどもたちは虫かごを片手に追いかけたり観察したりしながら、自然の中で思い思いに過ごしています。また、登り棒は登り切ると堤防の川が見えるのですが、その瞬間に広がる景色を見たい一心で、こどもたちは次々と挑戦しています。景色そのものがこどもの意欲を引き出す環境になっていることが印象的です。自然の中でのびのびと体を使って遊ぶ経験を積み重ねることで、こどもたちは自分の体の感覚をよく理解し、怪我も少ないように感じます。

清水こども園のこどもたちの日常の様子の写真です。生き物を見つけて興味津々になっています。
清水こども園のこどもたちの日常の様子の写真です。田んぼの生き物を見つけたようです。

散歩も大切な活動のひとつです。園から1.2㎞離れた清水温泉まで出かけたり、3㎞離れた蔵王権現社まで歩いたこともあります。道中では田んぼでオタマジャクシや蛙を見つけて捕まえたり、地元の人が整備してくれている原っぱで「だるまさんがころんだ」をしたりと、自然との触れ合いをとおしてこどもたちはさまざまな感覚を育んでいます。

あらぎ島での田植えの様子の写真です。
あらぎ島での田植えの様子の写真です。

本園ならではの行事としては、あらぎ島での田植えから、稲刈り、脱穀、精米まで稲作の流れをこどもが体験します。秋には、園庭で焚き火をし、新米を釜で炊いて食べることもあります。こどもたちは季節の変化や食の大切さを体験的に学んでいます。
こどもに育ってほしい力が、この自然豊かな場所だからこそ自然と育まれていると感じる場面がたくさんあります。

園と家庭、地域がつながり、みんなにとって楽しい活動がいっぱい!

清水こども園の夕涼み会の写真です。清水まち音頭を踊っています。

小規模園の課題のひとつに「こどもの集団が作りにくい」という点があります。その解決策として、月1回近隣の小学校を訪問したり、また、町内のこども園のこどもたちにも遊びに来てもらい、一緒に集団遊びをする時間を設けるなど、園外との交流も積極的に行っています。
保護者の方々も自分の育った園のように大切に思ってくれて、春の親子遠足では企画段階から協議に参加してくれ、毎年親子全員参加で楽しむ恒例行事になっています。卒園後も園の活動の手伝いに来てくれる保護者がいるなど、園とのつながりが続いています。
夕涼み会では、園児だけでなく地域の方々も参加し、飲食店を営む方が夜店を出してくれたり、地元の方がBGM演奏をしてくれたり、みんなで清水まち音頭を踊ったりと、地域と園が一体となって楽しみます。、こどもの成長を一緒に過ごすことができるので、保育士という仕事のやりがいにつながっています。春になると、裏山にはタケノコを見つけたこどもの「ここにあったで!」という声が響きます。保育士はその声を聞き、また一年頑張ろうと思っています。

清水こども園のこどもたちの日常の様子の写真です。どろんこ遊びをしています。

こどもも保育士も、お互いを家族のように深く理解し合っている関係性があるからこそ、こうした自由な時間の流れの中でも一人ひとりが安心して自分らしく過ごせています。小規模園ならではの温かい関わりが、こどもたちの育ちを自然と支えています。
これからも、今ある環境や人とのつながりを大切にしながら、こどもたちの育ちを家族のような想いで見守っていきたいです。

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